蝶の羽ばたき

「元の自分に戻るため」の一歩を踏み出した、結構いい歳の私の記録。なんでも書きます。

映画感想「容疑者Xの献身」

先日テレビで、ガリレオシリーズの「容疑者Xの献身」をやってたみたいで、妹が録画していたのを見ました👀

 

ガリレオシリーズ面白いですよね、ストーリーもキャラも(笑)私は湯川先生けっこう好きです。最初の連続ドラマの時は毎週見てた記憶。映画版は見たり見なかったりだったけど。

 

そしてこの「容疑者Xの献身

私はドラマや映画にめちゃ気持ちが入るタイプなので、そのせいもありますが、見終わったあとなんとも言い難い気持ちになりました…

 

もうだいぶ前の作品なので、ネタバレとか気にせずに書きますね✌️

 

 

私は、最後まで見た時、石神の「献身」はすごいと思ったんです。だからこそ、最後に守ろうとした靖子にすべてを知られて、彼女が共に罪を償いますと言った時、石神の心を考えると胸が苦しくなりました😢

 

しかし!

後から思い返すに…

 

石神の一連の行動は「献身」だったのか?

 

私は、彼は心から愛することができた唯一の相手に、「愛」ではなくて「痛みと罪悪感」を与えてしまったのだと思います。

 

彼にとっての「愛」の名のもとに。

 

それは確かに石神にとっては、彼なりの心からの愛だったとは思うんです。

絶望の中で命を絶とうとした時、初めて触れた他者からの暖かさ。それを感じた時の石神の心にはきっと特別なものが生まれました。だからこそ、それまでと変わらない生活が、ほんの少し彩られた。だからこそ、彼は生き続けていくことができた。

 

それはほんとに、「救い」であったと思うんです。

 

自分を救ってくれた相手を初めて愛し(石神が愛と自覚はしていなかったかもだけど)、そしてその相手が窮地に陥ったと知った時、石神はきっとある種の「恩返し」ができると思ったと思うんです。

 

石神にとっては、靖子とその娘の美里が、いつまでも幸せで暮らせること。2人の何気ない生活の穏やかさや明るさを知っていたり感じていた彼だからこそ、彼女達の生活を守ることこそが、最大の恩返しだった。

 

そして石神には、それを達成出来るだけの頭脳があった。

 

 

私は、石神が一度自殺しようとロープを首にかけた時に、彼は一度本当に死んだのだなと感じました。

精神的な死が一度訪れて、そこからの救われた人生は、彼にとってはきっと夢のような人生。

 

だから、それをくれた靖子が殺人を犯して窮地に陥った時、石神は彼女がくれた残りの人生のすべてを、彼女に捧げようとした。それこそが、「愛」故だと。それこそが彼女の「幸せ」につながってゆくと、心から確信して、壮大な計画を淡々と実行した。

 

靖子と美里が嘘をつかなくても済み、警察の目を欺ける、そして自らも最小限の嘘しか生まず、しかし罪のない他人の命をひとつ犠牲にした、壮大で、でも私からしたら「大馬鹿者」の計画。

 

最後に、守ったと思ったはずの靖子が警察署に現れたのを見た石神は、本当に何故靖子が現れたのか理解できなかったと思う。

そのままにしていれば、靖子と美里は今まで通りの人生を歩んでいけた。新しい相手とも出会えて、幸せになれたのに。

 

どうして?

 

でも、私は声を大にして言いたい!!

 

見知らぬ他人の命を犠牲にして、そして石神自身のこれからの人生を犠牲にして守られたことを湯川から知らされた靖子が、これから本当に「幸せ」に生きていけると思ってるのかー!!!!

 

靖子にはこれから常に罪の意識が二重につきまとう。

自分が人を殺めた罪悪感と、石神にそんなことをさせてしまった罪悪感と。

 

そんな人生を、石神は彼女に背負わせた。

 

純粋な「愛」の名のもとに。

 

 

この問題を解いても誰も幸せになれない。

石神は湯川にそう言った。

それは本当だと思う。本当に誰も幸せにはなれなかった。

でもそれは、石神のやり方が間違っていたから。

罪を被れば守れるわけじゃない。罪を犯せば守れるわけじゃない。

なら、どうして自分の心情を吐露する手紙を書いたの。

自分の存在などと卑下するのなら、靖子を愛する気持ちも、ずっと隠して見せなければよかった。

本当の本当にストーカーになりきったまま、成功させればよかった。

けど、石神は靖子に感謝を伝え、「決して罪悪感など感じてはいけません」などと、愛する人を守った自分に酔った手紙を書いた。

 

 

そして、湯川だけが本当の友情でもって、石神の間違いを正した。

石神に湯川の苦痛はきっとわからない。

湯川がどれだけの思いで石神の計画を崩したか。

石神の歪んだ純粋さや恋心に気づいていた湯川が、彼の渾身の献身を崩すのに、どれだけ覚悟がいったか。

 

「愛」って、難しい。

愛していれば、どう表現してもいいというものでもないし、愛は時として人を傷つけかねない。

 

「幸せ」って難しい。

何が幸せなのかは、人によって本当に違うから。きっとこうすればあの人は幸せだなんてことは、ひとつ間違えたら思い上がりなんだ。

 

愛も幸せも、自分は遠いところにいると思っていた石神が、愛と幸せのためにやったこと。

それは、結局、誰一人幸せにしなかった。

4色問題の回答を「美しくない」と言った石神。

「正しさ」だけじゃなく「美しさ」を数学に求められる感性を持っている彼だったのに。

 

不器用で、無知で…

 

 

でも、警察署に現れて自分も罪を償うと言った靖子だからこそ、あなたは彼女を愛したんじゃないの?

自分に罪を被せて、これで私は幸せに暮らせるわなんて、そんなことが思えない彼女だから、あなたは愛を知ったんじゃないの?

 

そこに、気付いてほしかった。

 

 

 

と、語りまくりましたが、見た後も本当にいろいろ考える映画でした。

感じるものも多かったし…

やっぱりガリレオシリーズは、面白い。

 

最新作も、見に行きたいなと思います😊

 

 

とりあえず福山雅治さん、いつまでもかっこいいよね(笑)